冬のことだったと思うが、映画が好きな友達と三人でビデオ屋に行った。
「不思議惑星キンザザ」はそのときに借りたのだと思う。違うかも知れない。
新しいが壁が軽くて風で浮きそうなアパートで、他にも友達を呼んでみんなで観た。
TVが腰よりも高い位置にあったので、みんな口をあけて青い画面を見上げていた。
子供が生まれたときに、親愛なる友人がくれた「キャベツくん」という絵本。
今、娘に読んで聞かせている。娘は絵のキャベツを触ろうと手を伸ばすか、
本の端を口に入れたがるので、なかなか最後まで読めない。
キンザザに出てきたボロボロの服を着た二人組の宇宙盗賊は
強欲で、ずるくで、惨めで、頭が悪く、本当にどうしようもないやつで、
権力にはとことん弱く、弱いものには果てしなく強気だ。
クールな中年ロシア人の主人公は、この二人のせいで何度も命の危機にさらされる。
キャベツくんにはブタヤマさんという豚がでてくる。
ブタヤマさんは豚なので、いつもキャベツくんを食べたいと思っていて、
キャベツくんとは知り合いなのだが、よく襲い掛かってくる。
不思議惑星キンザザではマッチが高価な通貨として重宝されており、
ヘビースモーカーの主人公が持っているマッチを、二人の盗賊はいつも欲しがっている。
貪欲で利己的で、隙があれば他人を騙そうとする二人は、
命に関わる重大な場面でも主人公を見捨てて逃げるが、頭悪いのですぐにつかまる。
ブタヤマさんは行動と感情が直結しているので
欲求のままにキャベツくんを食物として捕食しようとするが、
その際にキャベツくんが話し出すと、律儀に耳をかたむけるなど、
ずるくなれないところがある。
キンザザの主人公である中年の男は、冷静沈着な常識人なのだが、
二人組みに陥れられて、ひどい目にあう。
二人組みも自分たちで墓穴を掘って死にそうになる。
そのたびに主人公は彼らを助ける。
助けるとそのときは礼を言うのだが、二人はまた主人公を騙す。
そしてまたドジを踏んで、サボテンにされてしまったりする。
主人公は念願の地球に帰ることと、彼らを助けることの
どちらかを選ぶ場面では、必ず彼らを助ける。
キャベツくんは「自分を食べるとキャベツになる」といってブタヤマさんを諭す。
またあるときは、橋の上でキャベツくんとブタヤマさんは他の巨大生物に食べられそうになる。
ブタヤマさんはそれらのあとにいつも反省し、キャベツくんを食べようとした自分を恥じる。
するとキャベツくんは「近くにレストランがあるから、なにかごちそうするよ」といって
自分を食べようとした相手に奢ってしまうのだ。
主人公の器が大きい、という端的な素晴しい話だと思う。
こういう話を心に貯金しておくことが、後天的に大器になるために重要だと思われる。
以上で大器になるための方法の報告を終わる。

