数週間前から、『アメリカンギャングスター』という映画を元に、
「タフガイとは何か」について実に濃厚な考察を書いていたのだが、やめたのだった。
よくあることである。とてもパンクだ。
今日は曇っている。曇っていて室内は暑い。
体が暑いと、狭い部屋に閉じ込められているような気がして、
暴れてしまいそうになるのだが、みなさんはいかがだろうか。
『アメリカンギャングスター』の主役を演じるラッセルクロウは、
気が短くてすぐに手が出る男を演じさせたら世界一で、
なぜなら彼は実生活でも短気ですぐ暴力を振るうからである。
ホテルの従業員に電話を投げたり、パブで「閉店するな」と言って喧嘩をしたりして、
いずれも逮捕されているほどだ。
また、メグライアンと不倫関係になり、元夫のデニスクエイドから
「役者としては優秀だが、人間としてはクズ」と称されている。
電話を投げたときは「奥さんに電話がつながらなくてイライラしていた」。
直情型というかなんというか、つまり馬鹿なのだが、
このイライラがスクリーン越しに伝わってくるから、おれはラッセルクロウが好きだ。
『L.A.コンフィデンシャル』でイライラして椅子の背もたれをへし折るシーンがあるが、あれは最高である。
頭にくる→我慢する→我慢の限界がくる、
という工程が一瞬にして行われることが、顔面の筋肉の動きでわかる。泣けてくる。
こういう彼の振る舞いを観ていると、安心するのである。
おれ自身は誰かに手をあげることは、まずない。
たぶん手首のほうが先に折れるし、そのあと心も折れてしまう。
身体的には全く違うが、ラッセルクロウのどうしようもなさは、おれとよく似ている。
かといって実際に会って話しても、つまらないことになることは間違いないのだが、
彼が逮捕されたと聞くたびに、ほっとする。よかった、ラッセルはラッセルなのだ。
ラッセルにはなりたくないけど、おれはラッセルに対して、限りなく遠い一方的な友情を送っている。
これからもたくさんぶん殴って下さい。お願いします。

